労働条件通知書には何が書かれているのか?
労働基準法とパートタイム労働法
労働基準法第15条には、労働契約の締結に際して、労働条件の明示が義務付けられています。これは罰則付きの規定ですから任意など曖昧なものではないのですが、どれほど正確に履行されているのかは疑問です。
さらにパートタイム労働法第6条では、上記に加えて4項目の事項について書面の交付により明示することが義務付けられています。
労働条件は、労働者にとって命ともなる部分ですから、その文書による明示はとても重要かつ中核的なもので、一番に気になるところです。
労働条件通知書の雛形にある内容(そこにはいったい何が書かれているのか?)
以下はそのひな形ですが、多くの場合このような内容であると思います。そしてこの程度の内容は是非欲しいものです。コピーして持って置き、イザというときには見比べてみてください。
〇雇用契約の期間
1 雇い入れ年月日
2 雇用期間(※雇用期間を設けて、その都度、更新していく企業もありますが、あまりオススメしません。派遣社員の場合は雇用期間があり更新していく場合がほとんどです。)
3 試用期間
〇就業場所
〇仕事内容
〇始業・終業時刻、休憩時間、所定時間外労働、休日労働
1 始業・終業時刻
(詳細別紙:カレンダー、シフト表など)、交替制、変形労働時間制、事業場外みなし労働時間制)
2 休憩時間
3 所定時間外労働(※残業に関わること)
4 休日労働
〇休日及び休暇
1 定例休日と非定例休日(※ここは意外と盲点です)
2 年次有休休暇(※会社の雰囲気によって、取りやすかったり取りにくかったりしますが…)
〇賃金
1 基本給(会社によっては、基本給を低く抑えて残業代で膨らますという所もアリなので、要注意)
2 諸手当
3 賃金の割増率(これを基にすると自分がもらうべき賃金を、自分で計算できます)
①法定労働時間超 ②法定休日労働 ③法定外休日労働 ④深夜労働
4 締切日・支払日・支払方法
〇退職に関する事項
1 定年制
2 定年後の継続雇用制度
3 自己都合退職の場合の手続き
4 解雇事由及び手続
〇その他(この部分の充実がその会社のステータスでしょうか?)
1 加入保険等(労災保険・雇用保険・健康保険・厚生年金保険・厚生年金基金・退職金共済)※特にパート、アルバイトの場合にもこの部分の充実が求められます。
2 昇給
3 賞与
4 退職金
〇備考(相談窓口)
この通知書はたった一枚の紙切れですが、その内容は「労働基準法第15条」と「パートタイム労働法第6条」の趣旨に則って、網羅的に書かれています。 面接時の話も進み、具体的に条件を詰めていく段階では、是非この労働条件通知書を面接官と応募者の真ん中に置いて、具体的な話をしていくべきかと思いますがいかがでしょうか。
この情報によって、かなりの部分がイメージされやすくなり、応募者が何らかの決断をするのに効果的な影響を及ぼすものと思われます。
この国の最もいけない点は、法治国家でありながら「まあ、まあ」、「なあ、なあ」で曖昧なことが許されてしまう事でしょうか。「それはそれ、これはこれ」的な建て前と現実を使い分けるような感覚は厳に排除していかなければなりません。
ことによれば、あなたの転職や採用後の人生を大きく左右する一大転機の就業に関する条件面を明記したものです。これが目の前にあるのとないのでは大きい違いだと思います。
<他にも、押さえておきたいポイント>
※派遣業法の改正で、通算5年以上の就業を経過した従業員の場合には、経営者は「契約期限付き」から「契約期限なし」の契約に切り替えることが出来る旨を通知しなければならないようになりました。このことをまだ知らない労働者が多いため、不利益が生じていることも考えられます。気を付けてください。
※「パートタイム労働法第6条」では、短時間労働であっても、昇給の有無・退職手当の有無・賞与の有無・相談窓口について、明示するように求めています。実際にはあまり履行されていないことも多いと考えられますので、見逃さないようにしましょう。
関連記事:「労働条件通知書は、どのタイミングでもらうべきか?」
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