「#教師のバトン」に見る教師崩壊状況
■今、教育現場がとんでもないことになっている
「#教師のバトン」の中で毎日つぶやかれているとんでもない教育現場の実態や内容は、ずっと以前からあったことです。
ですが、そのことをこれほど公に発言できる状況は、世の中全体がブラックな実態を嫌うマインドが定着してきたからだと思います。それまでは、同僚間では周知の事実でも外へ出すには憚られるものでした。
そこにきて、文科省がバカなことにこんなことを始めたものだから、時を時節と一気に炎上してしまったのは、必然と言えるでしょう。
アホですね文科省、現場の実態が最悪なのをお解りにならないその鈍感さとは、さすが親方日の丸なお役人ですね。
お役人にそれを何とかしなければならないという責任感はないのでしょうか。役人に国民への目線ではなく内閣の為政者や政権政党への忖度ばかりが増えていて、それ一色になっているようではこの国は救われません。
そもそも学校は仕事の量と、勤務時間のキャパがアンバランスなのでこんなことになるのです。大抵の場合、特に学担は児童が帰宅後の夕方くらいからしか、事務的な処理ができないことが多いのです。
学校に限らずどのような職種にも、それなりに苦労と努力があり、お互い様的な感覚で他者へは大げさには云々しないことが吉というような雰囲気が、かつてはありました。
それが、ここへきて社会的状況の変化に伴い、パワハラだ、セクハラだ、ブラックだと、それまで蓋をされていたものが、もう隠せない状況が生まれて、教育現場にもその波が遅ればせながら寄せてきたということでしょうか。それは、一つの進展とみることもできるかも。
■以前のことを知る者として
これらの事自体は当の以前から云々されていたことです。以前に一つの社会的転機となった時期は、学校に週休二日制を導入するにいたる過程においてのことでした。
大手企業は「週休二日制」が一般化していても、中小においてはまだまだそれどころではないとの意識が多くを占める中では、学校が先行して週休二日になることで、社会の変化をけん引するとの目論見からだったのです。
つまり、子どもが休みなら親も休まざるを得ない状況になるからです。そこで、段階的には4週6休が試行された後、週休二日制へと移行するという道のりでした。
その当時、お上の方からも「教育内容の精選」というかけ声がかかり、みんなの合言葉のようになっていた時期があります。
そこで、週休二日制に対応した学習指導要領の改変が行われて、導入されたのが主要教科の授業数を減らして、その代わりに1・2年生に「生活科」と3~6年に「総合学習」という新たな内容の新設です。
「総合学習」の元々の概念は問題解決学習的な児童のニーズに出発する内容の構築でした。しかし、実体は学校の学年ごとの統一課題が設定されてしまい、児童のニーズに出発するものではない、形骸化されたモチベーションの上がらないものになってしまっている状況があります。
一部では、「総合学習」の時間を有意義な探求学習へと昇華させた学校の取り組みもたくさんあります。しかし、そうこうするうちに、2000年前後に「学力低下論争」が巻き起こります。
例えば「大学生が分数の計算を出来ない。」なんてことが云々されるようなことが起こったりしました。
そして、それに拍車をかける出来事が起こります。その頃のOECDの行うピザテストの結果、日本の15歳年齢の読解力が順位を大きく低下させたことから、「日本の子どもたちの学力低下が甚だしい」という批判が巻き起こります。
そこから文科省は学習内容の増加に転じたのです。実は、教育内容を増加させてしまっては、学校現場への負担が増すのは必須なのです。
あとは、「英語だ」「プログラミングだ」「道徳の教科化だ」と一本道状態になったのです。教育内容は増える一方でとうとう一週間の時間割には収まり切れなくなりました。
そこでA週B週として時間割を2週に分けて内容を振り分けて一周するというようなことになりました。もう、そこでは「教育内容の精選」と言う言葉はあっという間に死語となっていたのです。そんな状態はもともと異常に思うのですが。
■取りあえず二つの提案と究極の解決法
二つの提案
□給特法の廃止と教育職員をすべて労働基準法の管轄下に入れ込む
今、教職員の実態として無定限な仕事量が限りある勤務時間からはみ出していることの問題性があります。
これを、労働基準法の管轄下に置くことで、時間を厳密に管理しなくてはならなくなります。不払いの時間外労働に関しては法律に則り給与を出さざるを得なくなり、時間帯によっては、割増賃金を払わなければならない環境の設定ができます。
そうすることで、文科省も教育委員会も行政も賃金の予算増を余儀なくされますので、本気に実態改善に考え始めることになるでしょう。
学校内のすべての職員をジョブ型の仕事契約に切り替える
ジョブ型とは雇われるにあたって、給与の対象となる仕事の内容を限定的に詳しく取り決めることです。それ以外の仕事はする必要のないものとして、責任を問われません。
◆まず教諭職の仕事内容を限定する
授業と評価のみを仕事の範囲とする。評価は事務的最小限の作業にとどめ、生徒指導や生活指導、部活、給食指導などは基本的に仕事内容から除外する。小学校に教科担任制が導入されるとのことだから、週の授業コマ数を15コマ程度に抑えるとよいでしょう。
◆新しい仕事の分野を創設する
教諭の仕事を減らした時に、当然だれがその仕事をするのかということがあるので、専門職としての生徒指導者や給食指導の人員をそれぞれジョブ型で雇うことにする。新しい職種を作るということの必要が生まれます。
実際に、欧州などではいろいろな職種の人たちが学校現場に関わっています。日本でも補助的な非正規の人たちがたくさん導入されてはいるのですが、しかしそれが教諭職の仕事内容をシェアして分け持つという形にはなっていないのです。
生徒指導(生活指導)の人員はカウンセリングの資格を持つ人材を起用すればいいと思います。少なくとも、そういう専門性を目指す人たちを採用すべきでありましょう。
◆教育内容におけるカリキュラムを減らす。やはり「教育内容は精選」は推進すべきであります。各教科の内容はもちろんのこと、キャパシティーに対して教育内容が多すぎる事を重要視するべきです。
内容を増やせば、その分に見合う別な部分を減らすなど、トータルが膨らまないようにしなければなりません。すべてが複雑な評価の作業につながるようなものは注意すべきです。
通知表も指導要録も放棄するくらいの荒療治が必要となります。
道徳が教科となりましたが、無意味なことです。文科省の考える道徳教育は毒にも薬にもならない時間の無駄となる税金の無駄使いです。
むしろ、現場教師に自由裁量の効く時間の保障となるような空白の時間を提供するほうが余程ましです。
また、学校には学校外から持ち込まれる内容がとても多いのも問題です。社会の多方面から啓発や宣伝等を意図した募集などが持ち込まれます。
交通安全教育、夏休みの自由研究、交通安全習字、交通安全ポスター、読書感想文、読書感想画、等々の募集関連だけでなくおおよその◎◎教育と名の付くもののほとんどが学校に持ち込まれます。これらは原則禁止する方向で措置しなければならないと思います。
社会の要求として、どうでも必要なものはすべてネットで募集して、学校を経由せず、完結するような状況にもっていくことです。
◆部活はすべて社会教育に移行する
もはや、それは必須でしょう。それをどう実現させるかは、国と自治体の責任です。その過程でたくさんの雇用が生まれるかも知れません。
日本の教育の究極の問題とは?
さて、この命題はとても広範な問題であり、とても一言では言い尽くせない内容ですが、実はこれこそがこの問題の本丸部分です。そこで、ここではほんのインデックス程度の触り程度のお話に留めます。
欧州の先進国では、授業風景がまるで違う。それを貴方は想像できるか?
最近この国でも「探求学習」のような、個人発の学習形態が取り入れられつつあります。しかし、それでも一般的なのは黒板に向かっての一律一斉授業というやり方です。
一方、欧州などの先進国の授業風景では、一律一斉の授業風景は少ないです。それはなぜかと言えば、欧州では学習者である子ども自身が自分の学習に関して決定権をもっているからです。
つまり、どのような学習内容をどのような方法で学習して、結果を説明するというやりかたが主流だからです。
日本のように教師が黒板の前に立ち、「今日は、教科書の〇◎ページ、□▲×について学習します。」という始まり方はほとんどないのです。
経験からあなたのイメージできる授業風景とは格段に違うと思いませんか?
この違いの根本は、「教科書教育」というものにある
さて、このような違いが、一体どうして生じたのでしょうか?そこには、「教育」観に関する決定的な隔たりがあるからです。
日本人は、「教育」を読んで字のごとく「教え」「育む」ものとして規定しています。しかし、educationの意味は教え育むという概念ではなく「引き出す」という概念です。
明治のはじめに、英語を日本語に訳すときに誤訳をしてしまったことが、ことの発端で、その後今の今に至るまでボタンは掛け違ったまま現在の教育の歪みに影響していると考えられます。
また、或いは悪く想像すれば敢えて明治政府がそのように解釈をすることで、「教育」をして国民を意のままに操るための道具とする企みを持っていたという解釈もできます。
学校制度の始まった当時、子どもに「読み」「書き」「計算」を教えるならば、大人数の子どもを一律一斉に指導するやり方は、とても効率的で、安上がりな方法として持ってこいでした。
そのやり方は、踏襲されて今に至るまで長い年月行われています。
教えるその内容こそが「教科書そのもの」であり、教育内容を決める決定権(教育権)が国にあるという状況が、とてもこの国の悪い教育環境の元凶になっているのです。
教育権裁判や教科書裁判など、以前はありましたがすべて国は押し切って教育権の保持を止めませんでした。それは今や後進国型か、ロシアや中国等ファシズムの国の有り様と似ています。
西ヨーロッパ諸国では、とっくの昔に教育権は現場に降りてしまっていて、国は「金は出すが口は出さない」というやり方が普通です。
なぜこの国は「教科書教育」に固執するのか?
教育権の象徴である教科書というものに、ここまで固執する国は、国のための教育内容を保持したいのです。本来、子ども一人一人の個人の実現の為にあるべき教育内容が歪められていることに他なりません。
教科書の作られ方は「検定制度」という名の「準国定制度」といったところでしょうか。今や、教育内容を国で決めなければならないほどの時代でしょうか。先進国では、現場の教師と学習者である子ども自身に内容は任せられることで、どんな不具合があるというのでしょうか。
教科書に固執することからくる不都合な諸問題とは
・教科書に縛られて行う授業は、どうしても一律一斉授業になりかねない。
・同じ教科書や、同等の検定教科書での授業が全国で行われるということは、全国一律の学習到達度テストが可能となるということである。
そのことの弊害は実は多きい。本来比較の必要もない個人の学力というものを、序列化してランキング化することになる。そしてそれを、学校も、子どもたちの親も気にするところとなる。
学校は戦々恐々として、その結果を受けての対策を考えることにならざるを得ない。本来必要もないそれらのことが、教師の多忙にさらに拍車をかける。
奇しくも今日の新聞一面ン見出しに、「県内、全科目平均下回る」という大見出しが出ている。
全くのナンセンスな記事である。百歩譲って、一人一人の点数はリアルな現実だと認めたとしても、平均点数は架空の現実である。一人一人の個人の現実との因果関係は本来的に存在しない。
その程度のつまらない比較が、わざわざ税金をつぎ込んでまで行われているという現実のほうが、よほど嘆かわしい。
全ては、個人の責任において学習内容や学習方法の選択が可能であり、その結果もその個人の責任において現実を受け入れ、さらなる学習に反映させることの繰り返しがベースとならなければならない。
日本の陥ってしまった究極的不都合の山
日本の長年の教育体制とそれに伴う教育体系は、様々な不都合をもたらして、今日ではあまりに当たり前すぎて、その問題に誰も云々できない状態である。
明治以来、何も変わらない、何も変われない教科書主義のこの国では東大を頂点とする偏差値体系を作り上げてしまった。それを基本とする価値観は、塾というもう一つの教育システムの乱立を促して、今や整理のつけようもない。
国は、子どもとその保護者に進学に要する膨大な費用だけでなく、塾というもう一つの学校?の費用負担まで強いている状態。それはもう、世帯の収入の高低によって将来の選択がリアルに左右されるということに他ならない。
一方、欧州などでは塾というものは存在基盤がなく、例えばフィンランドでは、「学校があるのに、なぜ塾に行くの?」と質問攻めに逢うと言います。どのように、説明しても、彼らの??マークは消えないのだと言います。
つまり、学校教育の本来あるべき姿がとっくに損なわれていて、国民全体が架空の平均点数や偏差値の為に踊らされているという悪しき現実が当たり前となっていることに気づけない状態が現実なのです。
一億総おバカな日本人なのです。
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