今は昔の「労働組合物語」
あなたの職場に労働組合はありますか? その答えはいろいろでしょう。全国どこでも労働組合は何十年もの長い間に、その組織率を落とし続け弱体化してきました。ですが、今も大企業や地方自治体の労働組合、私鉄労働組合など一定の力を保っているところはあります。
その昔、1970年代の前半あたりまではこの国でも労働組合はよく頑張っていたと思います。今はJRと言いますが、当時国鉄の労働組合などは、毎年春の時期には遵法闘争というもので、電車をゆっくり動かして、その影響で大都市圏の人の足は大いに混乱したものでした。
「春闘」と言われる賃上げ闘争は今でもありますが、当時はもっと激しくてストライキを伴うものが結構ありました。つまり、ストを背景にしながら経営陣に賃上げを迫っていくという戦法です。
それは、ストライキ権として、団体交渉権とともに法的に認められた労働組合としての権利なのです。ですから、春の時期には日本中のいろいろな組合が、ストライキと絡めながら一斉に賃上げの闘いをしていたものです。もちろん、そのなごりは今でもありベアの要求は続けられています。
「昇給延伸」という報復処分
一方、企業労組とは違って、公務員の労働組合にはスト権が認められておらず、ストライキを構えるには「昇給延伸」(昇給の時期が規定時期より遅れること)という報復処分をも覚悟して頑張る必要がありました。
そのような、捨て身の闘いから、次の段階では処分の出ないぎりぎりの線で闘う「29分ストライキ」という戦術もよく行いました。組合としても処分者の山を作るわけにはいかないという苦肉の策でした。
それでも、高度経済成長の時代にあっては、少しづつではあっても労働者の待遇改善や給与水準の改善が進んでいきました。とくに、産休や育休の権利、介護休暇などのシステムはもともと先行して公務員の組合が勝ち取り、その後、法制化されて一般に広がっていったものです。
労働基準法には、労働組合の一定の権利が生きています。就業規則の作成には組合や従業員の同意が必要とされていることなどがそうです。ですから、今の勤労者は労働組合の長年の成果や遺産の上で、権利を行使しているということもできるのです。
大企業など、産業別の労働組合ではユニオンショップと言われる制度の組合も多く、つまりそこに採用されると、同時に組合員となるシステムで、今も高い組織率を保ち続けているようです。
時代は変わりましたが
時代は、大きく変わりましたが、労働者がいなくなったわけではありません。それに、賃金や待遇面についてのトラブルが無くなったわけでもありません。ただ、正規労働者(正社員)の率が少なくなり、非正規労働者(アルバイト、パート、派遣)などの割合が大きく増えました。
それは、政府与党や資本側の思惑の反映で、人件費を減らして収益性を上げるという一石二鳥の策略の賜物だと思われます。それに対して、労働者側は力を分断され立ち向かえない状況です。
ですが、不満やトラブルがある以上、労働者として闘い方が全くないわけではありません。労働基準法を味方につけ、労働基準監督署などに申し立てることも有効な手段です。
有給休暇などは、心掛けて行使していかないと取りにくい雰囲気となり形だけの権利になってしまう恐れがあります。その点でも、個人としての闘いが出来ないわけではありません。例えブラックな企業であったとしても、それなりに闘う必要もあります。
組合を作っちゃおう
今、あなたの職場に組合がないとしても、組合をつくることが、実はそれほどむつかしいわけではありません。ハードルはそれほど高くなくて、作ってしまえば、法的にもすぐに認められます。
そして、その効果は確かにあるのです。その最大のものは団体交渉の権利が得られて、経営側はそれを拒めないという決まりになっているからです。軽くいなされたり、無視されたり、馬鹿にされたりはなくなると思います。そして、交渉が成立すれば、それなりに待遇や賃金の改善は進むことになるでしょう。
二人からでも組合は作ることが出来、届け出をしてもしなくても組合には違いはないのです。自分の職場をもっと働きやすくいいものにしていきたいと願うのであれば、あなたも一度考えていい方法かも知れませんね。
組合は、一緒に働く者どうしの団結や絆から生まれるものです。その点でも、職場が楽しく愛おしいものになるでしょうね。
OECD諸国の先進国に学ぶ点も大いにあります。是非研究してみてください。いかに自分たちが劣悪な状況に置かれているのかが鮮明となり、正しい怒りというものが湧いてくるかもしれません。
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