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未払い残業代230億円を支払うクロ〇〇ヤマト

今、宅配業界が揺れています。
クロ〇〇ヤマトは、未払いとなっている残業代230億円を支払うのだと言います。社員・従業員の数は確かに多いのでしょうが、それにしても巨額な金額です。組合はいったい何をしていたのでしょうか。でもその内実までは分かりません。

これを期に、ヤマとは配達料金を最大180円値上げすると発表したそうですが、同時に通販大手と交渉しているとのこと。その通販大手というのは、言わずもがな「アマゾン」のことですね。アマゾンに対して値上げ交渉をしているのでしょうか。それとも、配達に要する日数や時間に関しての事でしょうか?

また、「午後0時~2時」の配達を廃止するとか。これまで、あまりにひどい労働実態にあったということなのでしょう。以前から宅配業界で働くのは大変という話は、アチコチから耳にしていたことではあったのですが、ここにきて公になったということでしょう。

佐〇急便にも動き

宅配業界もう一つの双璧、佐川急便にも大きな動きが出てきています。それは宅配ドライバー週休3日制への移行です。1日の労働時間を10時間として、週の4日で40時間勤務という変形した労働時間の導入のようです。

1日8時間 × 5日 =40時間ですか週40時間勤務という意味では帳尻だけは合うのですが、果たして効果のほどはどうなのでしょうか。関東地域で先行的に導入して、うまくいくようであれば全国に広げていくつもりなのでしょうか。

1日、10時間働いて、ことによってはさらに残業が生じるようなことになれば最悪でしょう。あなたはどう思いますか。他の業種や企業にも波及していくことになるかどうかは、勤労者自身が答えを出すべきかも知れませんね。


「未払い残業代」とは、「サービス残業」のこと?

もしかして、あなたの職場ではどうしても仕事が終わらないので何となく暗黙の流れでサービス残業になってしまっていて、残業代を要求するのも無粋で角が立つような感じがして気が引けるなんてことはありませんか?

結果、なあなあ状態のうちに何となくうやむやになってしまって、あなたの給与は増えないという現実はありませんか? でもそれって、当然アリのことでしょうか。

それを、判断するにはやはり法的にどうなっているかを検証する必要があります。

厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署の存在

これらの役所は、使用者に対して以下のような指導を行っています。

労働基準法により、使用者は労働時間を適切に管理する 責務を有していますが、労働時間の把握に係る自己申告制 (労働者が自己の労働時間を自主的に申告することにより 労働時間を把握するもの。以下同じ。)の不適正な運用に 伴い、割増賃金の未払いや過重な長時間労働といった問題 が生じているなど、使用者が労働時間を適切に管理してい ない現状も見られます。

労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置

その 1  始業・終業時刻の確認・記録
使用者は、労働時間を適正に管理するため、労働者の労働日ごとの始業・ 終業時刻を確認し、これを記録すること。

その2 始業・終業時刻の確認及び記録の原則的な方法
使用者が始業・終業時刻を確認し、記録する方法としては、原則として次 のいずれかの方法によること。
(ア) 使用者が、自ら現認することにより確認し、記録すること。
(イ) タイムカード、ICカード等の客観的な記録を基礎として確認し、 記録すること。

その 4  労働時間の記録に関する書類の保存
労働時間の記録に関する書類について、労働基準法第 109 条に基づき、3 年間保存すること。

これらの事からはっきりと言えるポイントは、法律によって決められているという点です。
◎従業員の労働時間の管理と把握は使用者の責任であること
◎労働日ごとに、始業・終業時刻を記録しなければならないこと
◎その記録方法は、以下のいずれかによること
 1.使用者が自ら確認し、記録する。
 2.タイムカード等の客観的な記録媒体を使用して記録する。
◎記録の書類は、労働基準法に基づき、三年間保存すること

つまり、労働時間は使用者が責任として把握すべきものであって、その限りにおいてはサービス残業の発生など起こりようがないはずです。働いた時間に対しては、給与支払いの義務が自動的に生じるからです。

残業代の規定

ところで残業代の規定は若干複雑です。それに、パートやアルバイトなど非正規の労働者には適用しにくい部分があります。残業代には割増率の規定があり、時間帯や休日によって率に違いがあります。概ね以下のようになっています。

残業の種類             賃金割増率      備考

法定時間外労働            
法定時間外労働            
25%

(1カ月60時間を超えた場合)    50%   代替休暇取得の場合は25%
深夜労働               25%   PM10時~AM5時
休日労働(法定休日)         35%   8時間を超えても、さらなる25%の割増はなし
法定時間外労働+深夜労働       50%

法定時間外労働+深夜労働
(1カ月60時間を超えた場合)     75%
休日労働+深夜労働           60%

※法定時間とは、労働基準法で決まっている労働時間のことです。上限は1日8時間で1週間40時間というものです。それを超えた部分が法定外労働時間ということになります。
※多くの会社では、この法定労働時間に会社の所定労働時間をそのまま合わせているという場合が多いようです。

割増率は一体、何(幾らの金額)にかけるのか(正規採用者の場合)

例えば割増率が25%としたら、1時間当たりA×1.25ということになりますが、この時Aに当たる金額はあなたの場合幾らになるのかご存知ですか。そのAという金額は、あなたの1時間当たりの単位給与ということになりますが、労働者としての雇われ金額は時間あたりで雇われているということの証でもあります。

それは、同じ会社の同じ従業員でもキャリアや役職などステータスなどによって一人ひとり違う金額であると考えた方がいいと思います。

単位時間当たりのあなたの賃金を計算する

この単位時間あたりのあなたの賃金が分からないと、残業代が計算できません。ですから、まずあなたもそれを計算してみましょう。さあ給与明細と電卓を用意してください。

支給合計から、住居手当や家族手当、通勤手当、扶養手当、等おおよそ業務とは関係のない要件で発生している手当を引き去ります。引き去り後の残高(これを仮にとします。)を、1カ月の所定労働時間、基本は(1日の所定労働時間)×(1月の所定労働日数)で割ることになります。

多いパターンは、8×21=168(時間)で割ったら、あなたの1時間当たりの賃金が出るというものでしょうか。結果はいくらになりましたか? そして、その額をみてあなたはどう思いますか?

さて、あなたの給与総支給額はおいくらで、そこから業務外手当を引き去った金額(B)はどういう数値になりましたか?
例えば、Bのの数値が20万円だとしたら、あなたの1時間当たりの賃金は
20万円 ÷ 168 ≒ 1190円 となります。

また、Bの数値が15万円だとしたら、あなたの1時間当たりの賃金は
15万円 ÷ 168 ≒ 893円 となります。

例えあなたが正社員で、パートやアルバイトの状態ではないにしても、基本的には1時間当たりいくらというあなたの労働価値として使用者に買い取られているという事実があるというわけです。これは頭の隅に置いておきましょう。

ここで導いた単位時間あたりのあなたの賃金が、つまり残業代の割増賃金の計算基礎の数値となります。因みに東京都の最低賃金は932円(2016年・10月~)ですから、それと比べて貴方の場合はどうですか。

それでも、未払いの残業代が発生したら

いかに労働時間の管理が使用者側にあるという法律があっても、使用者のコンプライアンス(遵法意識)が低い場合には、未払いの残業代が発生することがあるでしょう。その時あなたはどうしますか?

私がオススメしたいのはやはり請求することです。タイムカードに正しく記録があればそれを基に、また、タイムカードのシステムがなければ、あなた自身が自ら記録したメモを基にあなたが計算した未払い額の数値を持って請求してみましょう。

過去分まで遡って請求したい場合には、過去2年の分まで請求できることになっているようです。ですから、期限があるという意味ではそんなにうかうかはしていられないかも知れませんね。

きちんとした記録データをもとにしないと相手を説得できない、認めさせることができない場合も大きいでしょう。なにせ、相手は遵法意識が薄いのでしょうから。それでも拉致があかない場合には、労基局(労働基準監督署)に相談してみるといいでしょう。

もちろん、順番が逆になっても問題はありませんので、頭に入れておきましょう。

転職サイト情報・エージェント情報

<管理人の泪みつるです>
記事のポイントををまとめてみます
①法的に「サービス残業」というものは存在しない。それは「賃金未払い残業」ということであって、労働者に当然支払われるべき賃金です。
②労働時間の管理・把握の義務は本来、使用者側にある。
③残業代には、割増率が付加される。(割増の規定は複雑)
④あなたが正社員・派遣社員であれば、一度自分の単位時間あたりの賃金を計算してみることが必要である。そうしないとあなたに支払われるべき残業代が計算できない。
⑤もし、正当に賃金が支払われていないということが分かれば、あなたには問題解決のために出来ることがある。

ザッとこんなところでしょうか。

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