「残業250時間、うつ病に」あなたならどうする?
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1ある男性の地裁への申し立て
11月20日、新聞にこんな記事が載っていました。滋賀県のあるホテルで2000年より働いていた男性コック(40代)の方は、長時間労働によるうつ病のため退職通知を受け、地位の確保確認と未払いの残業代の支払いを求め、地裁に申し立てを行ったとあります。
話によると、繁忙期などには1日の勤務が20~23時間に及ぶような日もあり、尋常ではない働き過ぎの状況下にあった模様です。このようにうつ病や心的外傷後ストレス障害(PTSD)が起こるまで働かなければならないような状況のあるこの国は、先進国と言われる国として恥ずかしいかぎりです。
月に250時間の残業とは、ほとんど稀なケースとは思いますが、慢性的に人手不足にある職場によく起こりがちな出来事であり、決して他人事ではないと思われるような人も多いかと想像します。
そもそも、この国の資本家擁護に偏りがちな制度設計が勤労者を救い切れていないことが問題なのですが、労働者としては、そうそう泣き寝入りばかりもしてられませんし、できるだけ劣悪な状況を避けるための知恵も必要です。
このケースでも、経営者は「そのような長時間労働はありえない。」と否定しているそうで、その真偽について、これから争われていくことになるでしょう。この場合、労災認定がなされないことには、この世は闇という感じですね。
2「36協定」(通称サブロク協定)を御存じですか?
労働時間や残業に最も関係のある法規定として、労働基準法36条が根拠となる場合が大きいので、その意味で重要な守り神として認識しておいてください。
そもそも「36協定」では、まず法定労働時間を「1日8時間、1週間40時間」と決めてあります。これが基本で、この時間を超えた労働を要請することが出来るためには、労使間による書面での協定が必要であり、しかも届け出をしなければならない義務もあるのです。
法規定では、その残業部分が無制限の時間オッケーというわけではなく、限度のラインがあり、その時間や、休日や休暇に関する労働規定も頭に入れておくことをおすすめします。法定休日と法定外休日労働の時間給はは違いがあるのです。
3残業労働代の計算方法とは?
労使間の「36協定」の結果、労働時間の延長が可能となるわけですが、その超過した労働時間に対する賃金は規定に沿って正当に受け取る権利があります。例えば、正社員だから残業代が貰えないなどということはありえません。法律で決まっているのですから。
1日8時間を超える法定外残業の場合は、超過時間×1時間あたりの賃金×1.25で計算します。さらに、月の時間外労働が60時間を超える部分については超過時間×1時間あたりの賃金×1.5で計算されなければなりません。また、15分単位で賃金が生じるということも併せて、頭に止めておきましょう。
休日労働では、法定休日の労働の場合=労働時間×1時間あたりの賃金×1.35で計算します。法定外休日の労働では、通常の1時間当たりの賃金×労働時間となります。
残業代も詳しくは、法定内残業と法定外残業では計算式が違うので気をつけましょう。いずれにしても、それぞれの社員の労働時間単価を明確にしておく必要があります。
4「固定残業代」や「管理職手当」でケムにまかれないようにしよう
経営者は、「従業員に対していくらいくらの固定残業代を支払っているから、文句を言うな。」とか、「管理職手当(例えば係長、課長、店長など)を払っているから、その中に無定量の残業代も含まれている。」などの便法で逃げようとする場合も多いと思います。
しかし、働く者の権利としては、そのまま鵜呑みにして引き下がる必要はありません。もともと、固定残業代であれば、それが何時間分に相当するのかが明確でなくてはならないのです。それを超過した分については当然、支払い請求が正当にできます。
また、管理職手当という便法では、もともと給与の概念が違います。管理職手当とは、職責の責任の大きさに対して支払われるものであり、残業代とは関係のない性質ですから、超過勤務時間はそのまま、賃金を請求できるはずです。
例えば、雇われ店長とか、課長という役職が経営側であると言える程の権限を有していない場合は、当然、残業代は賃金として成立します。
経営者が聞く耳を持たずあまりにひどい場合は、労働時間とその対価をきちんと証拠として残し、それをもって労働基準監督署に申し出るという方法も考えられます。労働者の権利は正しく行使することが肝心です。
5この国では、行政自体が労基法を守っていない
知っていますか?公務員で最もブラックな職場は、学校現場です。定時が4:45なのに、そんな時刻に帰れる人なんていません。サービス残業が7時8時まで続くのは当たり前です。この構造は一般企業とやや状況が違っています。
そもそも、管理職が残業を要請するという状況はほとんどないからです。教師は自分の抱える膨大な仕事の多さに忙殺されながら、半ば自主的に遅くまで仕事を続けているのです。ですから児童や生徒のことを思い彼らのためになることをしようとすればするほど、善意の仕事が増え続けるのです。
挙句の果てには、家に持ち帰りの仕事まで抱え、大きなバックを抱えて帰宅するはめになるのです。こんなことがごくごく普通の日常的なこととして延々んと続くのです。
それが、学期末や年度末ともなれば、もう人間技を超えた過重な労働を強いられることになるのです。
6学校には、タイムレコーダーがない?
県によって、違いはあると思いますが、私の知る限りにおいては学校にはタイムレコーダーがありません。行政自体が、労働実態を曖昧にしうやむやにせんがために、そのような姑息な実態を自治体も容認しているわけです。
これらの労働実態の追及を逃れるために、私の知っている県では、’7%の教職調整額というものの支給が行われています。おそらく他の県の実態も似たような状況ではないでしょうか。
「教職調整額」というものは、教職の特殊性に対して支払われるという名目のものです。教職の特殊性という実態は、実に様々で、数限りなく存在します。例えば、法定勤務時間外に保護者から電話相談などがあれば、断れません。お役所のように「本日の業務は終了しました。業務時間内に、お電話ください」というメッセージが流れて電話が切れるなんてことは出来ません。
つまり、教師という仕事は、勤務時間内だろうが、時間外であろうが24時間いつでも教師であることを求められるという「特殊性」を含んでいます。その特殊性に対して、教職調整額が支払われているわけであり、残業手当とは何も関係しない性格の給与であるはずなのに、このことが、残業代と相殺できるかのごとき言い訳がまかり通るという、度し難い国なのです。
そんなことは、労基法の精神からすれば考えられないことです。
この国はほんとうに先進国なのでしょうか?
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<サイト管理人の泪みつるです>
この国では、私たちが、長年政治に興味がなく政治家や政府のやることを黙って容認してきたせいで、働く勤労者にはとって辛く暮らしにくい生活を強いられるような、つまらない国になってしまいました。
しかし、少なくとも労働基本法や労働基準監督署は私たちの味方の部分も大きいわけです。まじめに職責は果たしているあなたは、常識的なモラルとしても、労働者としての権利は正しく要求することを躊躇してはならないと思います。私たち自身の生活がかかっているのですから。
皆さん、決して諦めたりせずに、頑張っていきましょう。
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Comment
鳥栖で最近できた物流は、土曜日以外は毎日残業を断れません。朝と夕方に残業しなかったら、翌日自分や同部署の仲間(平均3人)が追い込まれるからです。女性の先輩でも1ヶ月の労働時間255時間以上です。入院した先輩の手帳を譲っていただいたメモに勤務時間と残業時間が書いてありました。
自分が勤務していた時に辞めた人は、1ヶ月15人+αです。
社長が自ら朝礼で話していたので間違いないです。
人数がギリギリ過ぎて、休み希望を取るときは人間扱いされませんでした。
コメントありがとうございます。
今、物流業界全体が想像を絶する状態なのでしょうね。製造系の企業も在庫を減らして必要量のギリギリを日々動かしているのでしょう。コンビニ関係や宅配関係、引っ越し業界とどこをとってもブラックな匂いがしますね。
人を雇っても雇っても辞めていく人が後を絶たないために、慢性的な人手不足が蔓延しているのかな。道路が良くなるほどに仕事も増えるのでしょうか?大雨でも降った日には、それはもう大変ですよね。