あなたの収入、それで毎月生きていけますか?
標準生計費とは
総務省の算出した標準生計費では、18歳~24歳の単身勤労者世帯について「全国消費実態調査」(平成21年)のデータをもとに、これに消費者物価、消費水準の変動率を加味して、2015年の4月の費目別標準生計費を算出したとあります。
<費目> ※世帯人数 1人(ここでは、世帯人数2~5人については割愛します)
食 料 費 | 27,800円 (食料) |
住居関係費 | 43,190円 (住居、光熱・水道、家具・家事用品) |
被服・履物費 | 4,740円 (被服及び履物) |
雑 費 Ⅰ | 27,370円 (保健医療、交通・通信、教育、教養娯楽) |
雑 費 Ⅱ | 11,620円 (その他の消費支出) |
計 | 114,720円 |
ここにある「114,720円」という金額について、これを読んでくださる読者のみなさんは、どう感じられるでしょうか? 筆者は「非常に低く見積もられている」という印象を禁じ得ません。
住居関係費がかなり実際よりも低いと感じられますし、税金関係・年金関係がこの額には反映されていません。非正規労働者の場合には、所得税、市・県民税、国民年金はこれらの費目とは別に請求される可能性が高いですから、所得に対してそれらの年額トータルを12分割して、月の標準生計費に加えなければならないと思います。
ただし、所得に応じて税金、年金、健康保険料は違いがありますから、そのことも分かるように所得金額を階層別にして「標準生計費」を明記すべきではないでしょうか。所得によって税金額が違うのですから、生計費もおのずと違ってきます。自分がどこに位置するかが判然としないのはいただけません。
総務省の出したものには、健康保険料のみが含まれているようです。それにしても、政府はどうして、このように生計費を低く見積もろうとするのでしょうか? まるで、国民に給与収入が少なくても生活できるのだから、安給料に我慢して不平も言わずに働きなさいとでも言いたいのでしょうか。
これでは、「健康で文化的な最低限度の生活」は保障されないと、筆者は思うのですが、あなたはどう思われますか?
内閣府の発表した「2015年度の一人当たり県民所得」(※2018年9月発表)
これによると、県民所得は、全国平均で一人当たり319万円(前年度比3.3%増)となったとあります。これも、低所得層にとってみれば何か実感とはかけ離れた印象を持ちますがどうでしょうか。
全国分を表にまとめてみました。
一人当たり県民所得(2015年)
1 | 500万円以上 | 東京(5,378千円) |
0 | 450万円~500万円 | なし |
0 | 400万円~450万円 | なし |
2 | 350万円~400万円 | 愛知(3,677千円) 三重(3,556千円) |
9 | 300万円~350万円 全国平均319万円 |
栃木(3,481千円) 富山(3,373千円) 静岡(3,316千円) 福井(3,196千円) 群馬(3,145千円) 大阪(3,127千円) 茨城(3,079千円) 広島(3,074千円) 滋賀(3,058千円) |
25 | 250万円~300万円 |
宮城(2,987千円) 神奈川(2,986千円)埼玉(2,977千円) |
10 | 200万円~250万円 | 奈良(2,494千円) 青森(2,462千円) 熊本(2,438千円) 秋田(2,420千円) 佐賀(2,412千円) 長崎(2,388千円) 鹿児島(2,384千円)宮崎(2,315千円) 鳥取(2,249千円) 沖縄(2,166千円) |
この結果を見てどう思いますか?
・東京の一人当たり平均所得が突出している。
・全国平均は、金額的にかなり上位の位置にあり、なぜそうなのか納得しにくい。
・最低賃金の高い神奈川や埼玉・千葉が、それほど上位にきていない。
・地域や県によって、かなりの所得格差が大きい。それは、産業集積の量の差か?
・愛知・三重が高いのはトヨタ関係の自動車関連産業の集積があるからか?
・北陸地域は案外と所得が高い。
平均という魔術はクセ者で、あたかもみんながそのレベルにあるのかと錯覚しがちですが、実は貧困層ははるかにそれ以下なのです。信じられないほどの高額所得者(少数)から虫の息で生きている低所得者(多数)までのすべてを合わせて合計し、頭割りするとその数値になるのですから。
ですから、国としての問題は生活に苦しむ低所得者を救いとるセイフティーネットをどう構築するかだと思います。底辺の人々に目を向けるボトムアップの政策を強力に推進して欲しいのです。防衛費ばかりを巨額に伸ばしている場合ではありません。もっと、国と金持ちは国民に奉仕すべきです。
有効求人倍率
政権が自慢するように有効求人倍率が上昇し、採用の場が増えていることは、もちろん悪いことではありません。求職者や転職希望者には若干の朗報かも知れません。しかし、採用意欲の高い職種は建設業など、もともと人手不足が甚だしい分野が多く、しかも「きつい」「危険」「汚い」のいわゆる3K職場が多いことも事実です。
非常にいびつな偏りが感じられます。女性しか雇わない、シニヤはご遠慮くださいなどの、求職者とのマッチングが上手くいかないからこそ、失業者が減らない状況です。金持ちは自分で生きていけるのですから、貧困層こそ救うべき対象です。それが社会の安定をもたらすのです。
<サイト管理人の泪です>
日本の社会構造は、福祉国家とも言い難く、労働者のための国でもなく、資本家・企業のための国である側面がとても強い国です。企業の言いなりになる行政も問題です。もっと庶民の力で住みやすい国になればいいですね。
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