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経団連会長のお騒がせ発言がまた話題になっている

「大学は学生にしっかり勉強させろ」発言の是非

経団連中西会長が「日本の大学生が外国の学生に比べて、勉強しない」発言が論議を呼んでいるそうです。確かに、「医師の資格を取る」とか、「薬剤師の資格を取る」、「司法試験に挑戦する」などの明確な目的があるとか、理系の学部で研究室に通って教授の研究の手伝いをするなどの事でもない限りは、いわゆる勉学に没入するということは少ないであろうとも思われます。

そういう意味で、一般的に「日本の大学生があまり勉強しない」という状況はあると思います。しかし、それにはそれなりの理由というものも一方にはあると言えます。

例えば
・日本の大学のシステムというものが入学のための試験の難しさに特化していて、入学後はトコロテン式に卒業へと送られていくようになっているということ。それは、ベルトコンベアー式のマスプロ教育になりがちである。

・学生自身、大学の名前を欲しがっているのであって、何か学問的な目的があってその大学に進学するというわけではないということ。

・企業側が、学生に大学での学習の価値を求めていない節があるということ。大学のネームバリュー(あらかじめランキング化されている)のみを求め、その点では奇しくも学生の入試時点での動機と企業の採用時点での動機は一致している。

そもそも大学とは、なんのためにあるべきなのか?

・最高学府であるはずの大学とは、学問や研究をすることを目的としてあるべきで、学問・研究に興味がなければ行くべきところではないというのが本筋でしょう。欧州ではそのことが日本よりは徹底していて、学業に向かない人が無理して大学に行く必要はないという感覚が一般的であると聞きます。

ところがこの国では、就職への切符として大学の名前の入った卒業証書が必要なので、勉強するしないに関わらず、大学に行かざるを得ないという事情がある。

ですからトヨタだろうが、電通だろうが、フジテレビだろうが、大手都市銀行だろうが、全く大卒高卒を問わず、人間本位の能力次第で採用するのであれば、無理ムリの大学受験などの必要も無くなることでしょう。

今では、大学が企業への就職予備校化しているきらいがあります。学生は3年生にもなると、インターンシップなどに出向いて早めの就活に動き、企業としては青田刈りの場となったりします。大学側も就活と言われれば、「授業に出ろ」とも言いにくい状況です。

欧米にはない「新卒採用」なるものが時期を同じくして一斉にあるということが問題なのでしょうか?

日本的教育事情の弊害

この国は、小・中・高校と教科書中心の詰め込み教育というものを未だに主流としている国です。ですから、コミュニケーションに必要な会話力、発言力、交渉力、プレゼン力、論議する力も、学習に関しての調査・研究の力もあまり付けられません。

それもこれも、教科書中心の教育が災いしているのです。考えても見てごらんなさい。世の中に出て、教科書的な答えの存在する解決すべき問題にはまず遭遇しません。教科書さえクリアーすれば大丈夫の学校教育をしているこの国では、身につかない力こそが、世に出てから必要な力なのです。

この国では、高校までの12年間で燃え尽きるほどのくだらない教科書中心の内容を喉元まで詰め込まれるので、大学にまで行って勉強しようなどとは思わないのが普通の感性を持つ人間の人情でしょうとも言いたくなるものです。

だから、この国では高校時代の受験勉強のダメージから解放されて、ゆっくりリハビリを行なう猶予期間として機能しているとさえ思えることがあります。

新しい文科省大臣が「教育勅語も部分的には、今の教育に活かせる」なんてバカなことを言ってます。この国の教育の本質的な問題を認識できていないこんなポンコツ大臣では教育の改革なんて、まず期待できませんから、まあ、教室へのエアコンの設置にでも精を出してもらうしかないでしょう。

企業は大学での学生の勉強をバカにしている??

〇「大学で、中途半端にマーケティングをかじって来たからと言って、そんなの現場に通用しないよ。」

〇「当社の会計制度は、独自の哲学に基づいたものだから、大学でなまじ会計学を学んだからと言って、学生気分で理想論を振り回されても迷惑」
〇「労働法とか、環境問題とか企業を敵視するような勉強をしてきた学生は、徹底的に根性を叩き直さないと使えない」

総てを信じたくはないですが、こんなことが普通に語られるような実態なのでしょうか?このような意識からか、大学での学生の勉強が評価されない現状があるとしたら、それは問題であります。

その上に、やれインターンシップだ、企業説明会だ、集団面接だ、個人面接だと学生はいくつもの企業にエントリーシートを書き、就活に奔走するのです。確かにその間は、じっくりとした学習は出来ないでしょうし、卒論も後回しとならざるを得ない事情は頷けるものがあります。

<サイト管理人の泪です>
大学は、高校時代までにできなかった社会勉強や、旅行などの体験的な経験を積むことのできるいい時期でもあります。スポーツに打ち込んだり、恋をしたり、親友が出来たりと人生のうちで重要なターニングポイントとなる可能性も大きいことでしょう。

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