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2018年、最低賃金の改定と取り巻く社会状況 

中央最低賃金審議会の答申

真夏のこの時期、例年のように中央最低賃金審議会(厚生労働相の諮問機関)の小委員会が東京都内で開かれ、2018年度の地域別最低賃金の改定についてまとめたことが発表されました。

それによりますと、賃上げの目安として
Aランク地域 +27円 結果、895円~985円 (東京・神奈川・大阪・愛知など)
Bランク地域 +26円 結果、810円~882円 (京都・静岡・三重・富山など)
Cランク地域 +25円 結果、765円~835円 (北海道・宮城・群馬・福岡など)
Dランク地域 +23円 結果、760円~771円 (九州7県・東北5県・四国2県・島根・鳥取)
のラインが提示されたのです。

この中央での目安の提示が各地方でそのまま採用されるかは微妙な部分を残すところですが、大方は中央へ右習えの慣例に従うことの多いこの国のことです。ほぼこれに近い数値がでてくると思われます。

平均で26円アップ、時給額874円とするこの金額ですが、地域がどのランクにあるのかと、現在の時給額がいくらかで結果は違いますから、この平均額というものには大した意味はありません。

秋口あたりには各地方での審議委員会が最終的に結論を出し、10月~11月ごろには実施が成されることでになるしょう。

この状況をどう見るか

政府の「働き方改革実行計画」に沿って、3%程度の引き上げ目標には見合っているようです。しかし、どうでしょう? Dランクではまだ時間当たり700円台で、Cランクも下位の方は800円を超えていません。この金額で、特に非正規雇いの労働者が果たしてその生活が成り立っていくのかという疑問があります。

「生活優先」という概念で考えるならば、時給1,500円程度が必要だと言われますが、その額にはほど遠く、Dランクに至ってはその半額程度です。これで果たしていいのでしょうか? AランクとDランクの差は大きくなる方向のようですし、世の中が多数の貧困層と少数の富裕層へと 二極化していく一方です。

また、たったの26円の賃上げにさえ企業側は限界であるとの反対論があるというのですから、話になりません。 「官製賃上げ」と言われ、よほど現政権が賃上げに努力しているかのごときポーズを見せていますが、これほど非正規の労働者が増えて、生活困窮者が蔓延したのは、そういう労働政策をとってきた政府・政権党の責任です。

高度経済成長期にも、そしてその後の低成長期にも、政権は国民のためではなく企業・資本への奉仕者であるかのように国民に背を向け、資本優遇の政策をとり続けてきたことへの大きなツケが 廻ってきているだけのことだと思うのですが。

憲法条項の持つ意味

憲法25条では国が国民に対して、「健康で文化的最低限度の生活を保障する。」ことを約束しているはずです。これは、生存権・社会権と言われるもので、この理念の具現化のために国は積極的に国民生活に関与していかなければならないのです。

国民には、自分の生活が成り立つことに於いて、本来的な権利があるのです。勤労と納税の義務を果たしているのですから。日本の市民ももっと権利を要求していいのではないでしょうか。

政権党の体質

自民党の杉田水脈議員(女性)が「LGBT」の人間について「生産性がない」「税金をつぎ込むのはいかがなものか」という発言の寄稿を行ったとして問題となっています。 LGBTの人は子どもを作れないという点で「生産性がない」としているのは、人間を人間としてではなく、利益をもたらすべき人材として見ていることの証であります。

これは、生産性のない「子ども」「高齢者」、「障害者」、「非婚の人」への見方をも差別規定するものです。生産性のない存在は、税金を使って厚遇する必要はないとする考えですから。 つまりこれらは「資本側の論理に匹敵する」というべきものです。

世の中や世界が人の多様性を大事にするという方向にある動きの中での逆行ですから、自民党の本質的な体質がスケて見えているようです。 この方、少しwiki~などで調べただけでも、かなり自民党タカ派の方々と価値観を共有しておられることがわかります。

「新しい教科書を作る会」所属従軍慰安婦問題での態度などからそれが容易に見て取れます。 そこにある根っことしての基本理念とは「国民生活よりも資本家の利益への貢献」ですから。

「自分の価値をあんたなんかに決められたくない!」と国会周辺では、議員辞職を求める抗議の集会も行われているようです。まあ、勤労市民としては抗議に納得でしょうか。このような国民無視の政治家に我々の生活を左右する政治を託してしまってるということの国民側の問題も同時に意識したいものです。

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電通事件の後始末ならず

折しもこの時期ですが新聞記事では、2015年、高橋まつりさん自殺に関する電通事件での、当時の上司に関する問題でその不起訴が確定したようですね。ここでも、被害市民よりも企業・資本家寄りの裁定を下す権力の本質が見えましたね。 まつりさんの遺族(母親)はコメントを出して残念の思いを伝えておられます。私も残念です。まだまだ、この国では残業地獄は続くことでしょうね。

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