労働局に寄せられた労働相談で多いものとは?
労働者の悩み
全国都道府県に配置された労働局には、労働者の悩みや告発、労使間のトラブルなどが持ち込まれるのは当たり前のことです。まがりなりにも労働局は労働者の立場に立ったスタンスをとるべき立場だからです。
持ち込まれる相談で何年もトップの座にあるのが、パワハラ(セクハラ等を含む)の問題のようです。次が、休憩時間や労働時間、特に残業時間の多さについて。そして賃金が上がらない問題の3点セットのようです。
まとめると
●パワーハラスメント問題
●労働時間の問題
●賃金の問題
となりますが、いわゆる鉄板問題と言っていいだろうと思います。
そのどれもが、昔から連綿とあるものですし、今更これじゃぁ欧州先進国に取り残されてしまうのも最もだなあという印象です。「古くて新しい問題」と言えばいいのでしょうか。
はっきり申しまして、これらは既にドイツなど先進国では日本の状況とは比べ物にならないほどクリアーされている問題なのですが。
なぜこの国はこうなのか?
元々、経営者側と労働者側は対立すべき位置にあるはずなのに、日本ではその対立が曖昧な状態だからではないでしょうか? 会社が儲かれば労働者にも必ず分け前は増えるものという甘い感傷が、なぜかこの国の労働者にはメンタルとしてあるのです。
私に言わしてもらえば、「だから、裏切られるのだ。」ということです。日本人は自分たちが階級社会に生きていることをなぜか感じ取れずに、日々の不満があってもそれを「要求」にまで育て上げ切れていない。
だから「交渉」が成立しない。特に労働組合が弱体化の一途をたどる状況の中では、経営者(資本家)有利の状態はひっくりかえせないのです。もう一度言います、経営者は通常株主には気を使いますが、労働者のことを忖度などはしません。
ですから交渉が必要なのです。交渉力とは一人よりも二人、二人よりも100人、百人よりも千人のちからを背景にした方が強くなります。そのために、労働者は労働者としてまとまり(通常は労働団体)を形成して、その要求を実現させるのに有利な政治状況を作るために、政党を選びます。ことによっては「労働党」を自ら作って政治を動かそうとします。
その勢力が強くなれば、社会情勢が変わり、政治が動き、労働者の待遇がよくなります。今、長らく超保守な政党が政権を担当運営していますが、キャリアの公務員たちは政権を忖度ばかりして、国民の方など見ていません。
市民団体の裁判が高裁や最高裁で国寄りの判決ばかりで、三権分立の市民社会の名が泣いてばかりいるのは、裁判官という公務員の質が落ちていることだけが原因なのではなく、本来公務員という生き物が公僕ではなく自己保身に走るばかりの存在であることを意味しています。
まずは労使交渉を目指そう
パワハラの問題も、労働時間の問題も、賃金の問題もすべて労働条件の中核的な内容ですから、交渉のテーブルに上げてガチで闘いましょう。この国ではそのためには組合を組織することが一番の効果的な方法ですが、これからの時代は様相が違ってくるかもしれません。
キャリアを武器に転職するときなどには、個人でもバンバン交渉するような時代がもうそこまできているのかも知れません。外国の雇用契約書には業務の内容が詳しく規定されていることが多いのだそうです。
例えば、外国映画で学校教師が自ら掃除をする場面などはまずありませんが、それはたぶん雇用契約の中に掃除をするという項目がないからだと考えられます。欧米では職種が重んじられるのでそれ以外の雑務は契約になければ拘束されないのが普通なのです。
ですから、その分ガチで契約交渉をするのです。少しでも有利な契約を勝ち取るために。
スポンサーリンク
関連記事
-
-
歴史に学び、これからの時代を読む!
この50~60年間を振り返ってみて、世の中がどう変わってきたのかみてみましょう。50年前と言
-
-
サポステ(地域若者サポートステーション)は、あなたのピンチを救うか?
サポステ それは、厚生労働省の委託でNPO法人などが運営する就労支援システムです。厚労省は年齢
-
-
全国100都市成長可能性ランキング
あなたはどんな街で暮らしたいか (株)野村総研は、独自に全国から選択した国内100都市を対象に
-
-
「電〇違法残業」事件、正式裁判へ
広告代理店「〇通」事件 新聞報道によると、広告代理店電〇の違法残業事件で、東京簡易裁判所は12
-
-
映画「誰がために憲法はある」を見てみたい
ある新聞の第2面に、映画「誰がために憲法はある」を監督したという井上淳一さん(53)
-
-
メーカーに操られている私たちの消費行動!
パソコン用のプリンターが… 7年間使ってきた某メーカーのプリンター(一応は複合機の装いのもの)
-
-
カルロス・ゴーン氏逮捕で日産自動車が大変なことになっているが、、、
有価証券報告書への収入の記載漏れ? 各種・各方面からのニュース等で、すでにあなたもご存知
-
-
就活者は、「定年退職」をどう考えるのか? 「ゴール前 伸びる定年 老い越せない」の川柳に笑えないリアルさがある
■今、就活者のあなた!「定年制」というものについてどう思いますか? もともと、日本企業や日本社
-
-
時給750円で某S市役所駐車場のバイトをしてみた
市役所の機能 市役所では、3月という月、年度替わり寸前の大層な繁忙期なのです。それは多くの人々
-
-
働き方改革!正社員と非正規労働者、「同一労働同一賃金」の行方は?
最高裁が「賃下げ容認」 長沢運輸(横浜市)を定年退職後に嘱託社員として再雇用されたトラック運転